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「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」の改正ポイント①

こんにちは、えみちーです。
暦のうえではもう春ですが、まだ肌寒いですね。
花粉は嫌ですが春が待ち遠しいです。

さて、みなさんご存知のとおり、1月23日に日本公認会計士協会より
「監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」の改正について」(公開草案)
が公表されました。(以下、「実務上の取扱い」(改正公開草案))

改正点は主に2つです。
内部統制の重要な欠陥の判断基準
内部監査人等の作業を利用する場合の留意点

何が変更、追加されたの?何をしなきゃいけないの??

ということで、今回と次回にわたり、まず「内部統制の重要な欠陥の判断基準」について、
「実務上の取扱い」(改正公開草案)を噛み砕いてみたいと思います!
今日のところは、「実務上の取扱い」(改正公開草案)のサマリーから。

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11.内部統制の重要な欠陥

(4)補完統制の考慮
◆不備が重要な欠陥に該当するか検討する際に、補完統制を考慮する
⇒補完統制が虚偽記載の潜在的な影響額又は発生可能性をどの程度軽減しているか?
【例】会社が事業計画や予算の達成状況を分析するために、補完統制として「財務分析等」を利用

(5)不備の潜在的な影響額の算定
◆業務プロセスの不備の程度を判断する際に、不備の潜在的な影響額(=不備により影響を受ける最大の金額)を算定する
⇒不備がどの勘定科目にどの範囲で影響を及ぼすか?
◆特定の不備を補う補完統制がある場合、補完統制が適用される取引の金額は不備の潜在的な影響額から除くことができる

(6)重要な虚偽記載が発生する可能性の検討
◆潜在的な影響額が金額的重要性を上回る場合、又は質的な重要性があると判断した場合には、重要な虚偽記載が発生する可能性の検討を行う

①業務プロセス
不備が発生する可能性は、発生確率及び発生可能性に影響を及ぼしうる各要因をあわせて検討する
<発生可能性に影響を及ぼしうる各要因>
 ・検出された例外事項の大きさ・頻度
 ・検出された例外事項の原因
 ・ある内部統制と他の内部統制との代替可能性
 ・財務諸表の勘定科目や開示と虚偽記載が発生するリスク
 ・不正の発生のしやすさ
 ・財務諸表の計上金額を決定するために必要な主観的判断の程度や当該金額決定に
  おける複雑性
 ・他の統制との相互の依存関係
 ・複数の不備の組み合わせによる影響

②全社的な内部統制の不備の評価の検討

 ・財務諸表全体レベル及び財務諸表項目レベルの重要な虚偽記載が発生する可能性が
  高いか否かで判断する
 ・全社的な観点で評価すべき決算・財務報告プロセスも上記に準じるが、潜在的な影響額が
 算定できる場合には業務プロセスに係る内部統制の不備に準じる

③ITに係る全般統制の不備の評価の検討
 ・原則として、ITに係る業務処理統制を通じて重要な虚偽記載が発生する可能性があるか
  否かを検討する

(7)内部統制の不備が複数存在する場合の検討
◆単独の不備としては重要な欠陥に該当しなくても、複数の不備が組み合わさって重要な虚偽記載を発生させる可能性が高まる場合、重要な欠陥に該当するか検討を行う必要がある
<影響額を合算する際の留意点>
 ・同一の勘定科目(売上高、売掛金、棚卸資産等のレベル)や開示事項ごとに合算する
 ・不備の影響額は原則として絶対値を用いる
 ・重複する影響額は控除する
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以上です。
実務上はそんなに大きく変わることはないかなあという印象ですが、細かい部分については解釈が分かれるかもしれません。
次回は、不備評価の流れをまとめながら、今後の検討事項を考えてみたいと思います。

ではまた来週!

by sox_change | 2009-02-06 17:41

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