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ロールフォワードの実施手順と確認項目について

少しずつ、春の訪れが感じられるようになってきましたね。
暖かい日差しの中、今日の記事は、まちゅんがお送りいたします♪
まちゅんのクライアントは3月決算会社です。
年度末が近づいてきて、内部統制の整備・評価もラストスパートの時期になってきました!

さて今回は、そんな時期にぴったりの(!?)
ロールフォワードについて取り上げたいと思います。

【ロールフォワードとは?】

例えば、3月決算会社では、4月~12月と実施期間を定めて行った
業務処理統制の運用テスト結果で「有効である」という評価を得たとしても、
期末日の3月末時点でも本当にコントロールが正しく適切に存在していると言えるのでしょうか?

12月時点から現在まで、変更点はないのでしょうか?
・・・・・・確かめてみないとわからないですよね。

このようにロールフォワードとは、評価時点からの変更点を確認し
「期中で得た評価結果を期末日における最終評価結果にするための手続」
のことを指します。

でも、変更点って、どうやって確認するんでしょうか?
だって、プロセス数も、部門も、キーコントロールも、たっくさんあるんですよ!

【ロールフォワードの実施手順】

もっとも、ロールフォワードの実施手順は、
実施基準や公認会計士協会の実務上の取り扱いに明確に記載されていないため、
各社の内部統制の方針やコントロールの整備・運用状況、会社の立場(親会社、子会社等)を考慮して、適切な方法で行う必要があります。

ちなみに、私のプロジェクト(3月決算の非上場子会社)では、
「変更点確認書」というものを用いてロールフォワードを実施する方針を取りました。

その際、「変更点の確認をとるために、どのような手段を用いるか」が大きな検討事項となりました。
手段とはつまり、質問、閲覧、観察、再実施・・・・・・ですね。
「再実施」は証拠力としてはとても強いのですが、その分、時間も人手も必要となります。
しかし、これまで大きな不備は一つも発見されていなかったため、
監査人とも協議した結果、「質問」で対応することにしました。

実施手順は、こうです♪

まず、内部統制室担当者が主導となって、業務実施部門に「質問」を行い、
「変更点確認書」に変更点の有無を記載します。
その後、「変更点確認書」は、内部統制担当役員が内容を確認の上、代表取締役社長へ提出されます。
最後に、代表取締役社長が、子会社全体のプロセスオーナーとして押印した後、
「変更点確認書」は親会社へ報告されるわけです。

【ロールフォワードにおける確認項目】

ロールフォワードは毎期必要なことですので、必要最低限の項目をカバーすることは当然として、
特にこの事例では、親会社から子会社に依頼をして行われるため、
出来る限り、子会社に負担をかけないことを重視しました。

その結果、以下の13項目について、変更点の有無を記載し、
変更があった箇所のみ、変更内容を記載するような形式にしました。

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1.財務報告上、重要なITシステムの新規導入、重要な修正、入替
2.ITインフラの大規模な変更
3.財務報告上、重要な業務の外部委託の開始、中止、変更
4.プロセス再構築(BPR)を含む、既存業務プロセスの重要な修正
5.大規模な組織変更、重要な地位の新設、従業員の交替を含む役割や職責の重
要な変更
6.内部統制の不備が原因と考えられる不正、誤謬を示唆する兆候
7.規制環境の変化
8.重要な問題点及び重要な欠陥の改善
9.評価対象業務プロセスに関係するルールやマニュアルの変更
10.合併、会社分割、事業譲渡・譲受、新事業の開始
11.財務報告に影響を与える新興産業や成長産業のリスク、新規ビジネス進出に
伴うリスク、ないしは会社固有のリスク
12.経営者による内部統制の無効措置の可能性
13.会計基準、財務報告要件の変更
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これだと、分量もそんなに多くはなく、要件も満たしていると考えられます。


今回の記事は、まちゅんのプロジェクトでの事例を取り上げさせて頂きました。
なぜ「変更点報告書」という手段を選択したかというプロセスは、皆さんの会社でも参考になるのではないでしょうか♪

by sox_change | 2009-03-17 12:16 | ・SOX法マメ知識

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